導入事例CASE02:
複雑な定期商品(健康食品)配布の受付窓口業務の支援

導入企業の概要とシステム(オンネットEC、オンネット販売)の関係

導入企業(以下「A社」)は、プライム市場に上場するスポーツジム事業会社(以下「ジム会社」)の定期商品販売におけるコールセンタ業務を請け負っている会社である。ジム会社は全国数千のジム店舗を運営し、利用者である会員が存在する。
ジム会社は会員に対して、ジムの提供だけでなく健康食品の販売もしている。商品は契約に基づく月単位の継続販売となっている。
A社はこの注文や退会変更要求を、電話・FAXで受付けている。システムはA社・ジム会社で共同利用されている。

システム構築の目的

会員(会員以外からも受付ける)からの注文が電話・FAXで行われている。電話受付する理由は、対応内容が複雑でWEB化は現時点で困難と考えているからである。商品は、数か月に1回の連続周期(会員ごとに起点月と頒布間隔が異なる)で各会員に頒布している。
注文が入ると、A社がDBに登録し定期契約が作成される。その定期契約に基づき、出荷指示データが作成され物流会社へ日次で渡される。その後コンビニ収納される。この全体業務をA社・ジム会社が日常業務遂行、業務管理で利用している。

この業務において、A社のコールセンタ業務には複雑な課題がある。

  • ・販売履歴情報が電話対応時間内で表示される事
  • ・電話・FAX注文が、ジム店舗と関連付けして受け付け出来る事
  • ・返品・交換業務が行える事
  • ・定期商品販売の休止、退会業務が行える事
  • ・入金完了が確認できる事
  • ・複雑な注文問い合わせ時は、ジム会社に対応相談し後日回答する仕組みがある事
  • ・適切なキャンペーン(サービス品など)の企画が行える事
などである。
この課題を新システムで効率化することが求められた。

システム化のポイント

受注確定前「受付画面」の作成
電話受注とFAX受注がある。このうちFAX受注がポイントとなる。FAXは受信後PDF化され、自動的にディスクに格納される。このPDFを各コールセンタのオペレータ(50名程度)が順番に取り出し「受付画面」の左側に表示。その画面を参照しながら画面右側でDB登録する機能を作成した(FAX-OCRの検討も進めているが、2023年時点で実用性を確認できていない)。
電話対応時の受注履歴表示画面の作成
電話対応時、過去の販売、入金履歴が参照できる必要がある。短時間に多くの項目で検索できる画面を準備した。この機能は「FAXで登録申込をしたのだが、不安なので電話でも登録申込した」ことによる重複登録防止にも役割を果たす。
返品交換が容易に行える受注画面の準備
受注確定したデータは「オンネット販売」の受注画面で処理される。ただ返品交換の要望(味、サイズなど)を、より容易に対応する必要があり、これに対応した。最初の受注番号と履歴関係を持ちながら管理する必要がある。これは商品発送時の「お届け票」の明細標記にも関係している。
契約管理機能と受注自動生成機能の整備
契約とは「どの商品をどの様な配布周期で届けるか」の内容となる。この契約情報を元に受注データを生成する機能が動作する。この契約管理と受注データ作成は、実は会員の要望で変更される場合がある。例えば「期間中に商品を替えて欲しい」「まだ残があるので、ある回だけ発送を止めて欲しい」などである。これらの変更に対応するためには「契約管理と受注データ作成」機能を高度に実装(突発的な変更を元に戻すなど)する必要があった。
クレジット会社からの収納情報自動処理などバッチ処理の自動化
クレジット会社から収納データが転送される時点を検知して、バッチジョブを起動する機能や時刻による起動などを「オンネットジョブ管理(OJMS)」で実現した。現在、毎日100を超えるジョブが自動実行されている。朝8時から17時までの画面から受注・契約データを格納し、その後当日出荷データを作成し、管理のための各種集計処理を実施する。処理は翌日未明まで行われる。
受注保留機能とジム会社連絡機能の作成
受注登録や変更する際に、曖昧部分が生じる事がある。例えばFAXの文字が不鮮明、返品対応の方法など。この場合、受注登録を「保留」とする。発生時点で問題点を登録する事により、A社・ジム会社間で対応と完了状況を共有する仕組みを用意した。
キャンペーン機能・ポイント機能の作成
商品販売ではキャンペーンが随時行われている。その方法は各社マチマチ。今回のケースも特有機能を準備した。ポイント機能も今回の要件に基づいて機能作成した。
上位システムとのマスタ連携
ジム利用の会員登録は別システムで行われている。その会員情報、商品情報をバッチ同期する仕組みを作成した。他システムとの同期は、当社バッチ作成ツール「SQLS」で作成し、それを「オンネットジョブ管理(OJMS)」で実行させる事で実現している。

システム構成

オンネットEC(電話・FAX受注)+オンネット販売の連携

システム化の効果

電話オペレータを含むA社・ジム会社間で、受注・売上状況の可視化が進んだ
商品売上、定期契約、受注保留、購入履歴などの情報を一元管理しているので、関与者全員が同じ情報で業務を進められる様になった。
複雑な受注業務が確実に行える様になった
受注時の商品組み合わせ、付属品、キャンペーン適用などで受注時に複雑な判断があったが、画面でのチェック強化、販売可能品の選択表示などで、熟練性に影響する部分を大幅に抑制できた。業務が自動化できる部分は、出来る限りシステム化したことになる。
販促(キャンペーン)が容易に行える様になった。
DB整備とプログラム分割(機能の疎結合)により、システムが安定した。販促施策が容易に実行出来るようになった。例えば「初回購入者と購入商品による値引き」「長期購入者への付属品頒布」などがある。分割された各DBテーブル情報と分割されたプログラム(機能)を追加、変更することにより、新たな機能を設けることが、以前よりも楽になったことによる。この様にプログラムの追加、変更が局所的(影響範囲の極小化)に行われることになったため、日常的な業務変化に対し、改善活動が連続的に行えるようになった。
「オンネットジョブ管理(OJMS)」で処理の自動化と結果確認の確実化が進んだ
「オンネット統合業務」には、バッチの自動実行する「オンネットジョブ管理(OJMS)」を備えている。「オンネットジョブ管理(OJMS)」は個々のプログラムとは独立し、日付(暦以外の複数カレンダによる)、時刻による起動、ファイルの書き込み、変更などによる変化をとらえて、プログラム実行するなどの機能がある。この機能により、毎日17時までオペレータによる受注データ収集を行い、その後直ぐに出荷データの作成を行う。翌朝6時まで、種々の管理資料作成、他システム連携、バックアップなどの処理を自動実行する。
また、自動実行したジョブの正常/異常の終了結果も取得しており、管理者による正常性確認が確実化されている。業務統制上必要であろう。バッチ処理のほとんどは「SQLS」で作成されており、保守性の高いバッチ処理をSQLスクリプトで記述可能となっている。
処理速度の向上
商品受注データは1千万件を超えている。これを高速に処理する必要性がある。ディスク・CPUは、高速、低価格化により、処理速度の確保が出来ている。処理速度の向上は「オンネット販売」だけによるものではないが、「数時間を要していた出荷データ作成が30分以内」「数時間を要していた数千店舗配布データ作成が15分以内」になるなど、以前のシステムに比べ大幅に時間短縮されている。
履歴情報の蓄積
金額に関わる項目は、すべて赤黒データ保持をしている。追加、収支、削除の経緯がトレースでき、安心感がある。