概要
「オンネット工数」は、「勤怠」「工数」「経費精算」「申請」を一体化したシステムです。この機能は「オンネット統合業務」のマスタと連動し、情報は会計業務、販売管理、原価管理とDB連動します。開発から14年(2024年現在)が経過していますが、開発の契機は弊社の経営管理のためでした。
弊社の事業は①「システム商品の開発」、②「導入したシステムの運用」の二つです。①は「仕事別、担当別に作業時間の把握」が必要です。②は「得意先別に作業時間の把握」が必要です。把握する目的は、利益=収益-費用を管理するためです。この利益管理は仕事(プロジェクト別)、得意先別に行うことが必要になります。
もうひとつ重要な指標があります。①と②の作業は直接に得意先と紐付いていますが、自社に紐付いている場合です。「商品開発」「研究、実験」「事務管理作業」などは、直接利益に結び付きません。この作業時間が結構多く「ドキっ!」としました。「研究開発」など有意な仕事もあるでしょうが、非効率性を見逃しがちになります。弊社ではこの時間に着目し「事務管理作業」の効率化に取り組める様になりました。
そんな中、社内で「介護による雇用継続化問題」が発生。その後、国からは「働き方改革」が言われるようになりました。そこで、今から12年前に「オンネット工数」に勤怠管理機能も追加しました。
管理項目は、「出退勤時刻」「中抜け時間(私用・介護)」「経費(原価に紐付く)」「申請(慶弔、年休など)」「勤務の適正管理(三六協定、年休取得)」を追加。その後出退勤打刻機能を充実させ、スマホ打刻、WEB打刻などを整備しています。
「オンネット工数」は、仕事の工数と勤怠データをマスタ(プロジェクト、社員、組織、取引先など)と連携して同時に管理するものです。販売(原価と作業時間による請求など)、購買(納品時付帯作業時間)、生産(工程管理)なども連携しています。
本画面は、工数管理(勤怠とプロジェクト集計)を行うための日報登録画面です。画面には、多くの工夫点があり、その説明を加えています。その中の数字は、後述する説明と対応付けしています。
■工数・勤怠管理_システム説明(PDF)
補足説明
以下の補足説明は、これまで「オンネット工数」のシステム適用した中で経験し、気づいた内容です。これからも色んな気づきがあると思います。その都度、考え方を整理しシステム改善を繰り返すことになります。
- マスタと連動している
- 「オンネット工数」は勤怠管理だけでなく、工数集計、工数に伴う請求、工程管理にも利用できるようにしています。そのためには販売、生産などの機能や、マスタ連動も必要になります。よく「CSV登録できます」となっているソフトがありますが、「オンネット工数」は「オンネット統合業務内のすべてのマスタと連動可能」です。主なマスタは以下のとおりです。
- ・社員/役割/組織
- ・プロジェクト(工数の集計単位)
- ・カレンダ(暦ではない会社のカレンダ)
- ・取引先(工数で請求)
- ・工程(製造原価把握)
- テレワークの普及で新たな役割の追加
- 2020年頃からのテレワーク普及により働き方は一変しました。「オンネット工数」では「どの事業所で働いているか」登録が必要になりました。通常、本店、支店、営業所などが入りますが、「自宅」や「サテライトオフィス」など特別な事業所管理が追加されました。GPSなどの位置情報とは異なります。仕事単位に必要になります。
- これからは中抜け時間管理が必要
- 勤怠管理には、①「就業開始と終了時刻とその間の中抜け時刻管理」が必要です。また、②「工数管理では仕事ごとの開始・終了時間管理」も必要です。
「オンネット工数」は①と②を同時に管理する仕組みです。他のソフトでは、②の機能は開始・終了時刻ではなく、消費時間(分)を登録するものもあります。しかしそれでは介護による中抜け、時間年休の管理が難しくなります。
「オンネット工数」は中抜け時間管理を柔軟に扱えます。
- 外部機器、モバイル対応
- 「オンネット工数」は主に、Windows-PCで利用されてきました(PCのデスク利用者が対象であることと高機能画面のため)。しかし、勤怠登録が中心の他社ソフトは、スマホアプリ、WEB画面によるモバイル利用はほとんどです。「モバイル端末で勤怠打刻をしたい」の要望を受けています。「オンネット工数」は、①PC画面部、②WEBサービス部、③DB部に明確に分離して構築されています。①の部分のプログラムを差し替えれば、スマホ、打刻装置(タイムカードなど)、ハンディターミナルなどが利用できます。
現在、スマホからの位置情報取得、周辺画像取得を実装しています。
- アラート機能の必要性
- アラートは、登録者と管理者(勤務事務責任者、工数管理者)の両者に対して必要です。「オンネット工数」の上位機能である「オンネット統合業務」には、「相関チェック機能」と「統合連絡機能」があり、そこからはメール、SMS、Teamsなどにアラート通知する機能があります。このアラートは、検出と通知先が導入会社ごとに大きく異なると予想されます。「統合連絡機能」には、DBに登録されたデータ(例えば出勤時刻、出勤日カレンダなど)から任意にイベントを検出し、通知を行うことが可能になります。「XXXX通知機能があります」ではなく、「自由に設定可能」です。
- 工数管理のデータ登録時間の問題
- 工数管理は、仕事(プロジェクト)に対して何時から何時までの作業時間を登録します。仕事が複数あればその分、登録明細は多くなり登録時間を要します。「オンネット工数」は、この作業時間登録を効率化するための工夫を継続しています。「過去の登録データ参照」「既定値のプルダウン化」などです。それでも弊社の場合、登録に10分程度は要します。「この時間をどう考えるか」は重要です。弊社は「業務効率化の観点」で登録時間のオーバーヘッド以上の効率化が図られると判断しています。また「作業時間を元に取引先に請求するためのエビデンス(取引先にも通知)」として必須作業と判断しています(弊社は作業時間を週ごとに取引先に自動連絡し、その作業時間で月次請求しています)。
- 勤怠打刻データの修正時間の問題
- 一般的に「スマホ打刻すれば、タイムカード打刻に比べ集計工数が1/XXになった」のメリットを目にします。本当でしょうか?弊社は少し懐疑的です。弊社での利用実感では、「スマホ打刻」は「打刻忘れ」「打刻遅延」が日常的に発生します。とすると、本人と勤務事務責任者間での「状況理解」と「訂正処理」が実際にはあるのではないでしょうか?その時間は、タイムスタンプ打刻などに比べて大きな工数になっていると予測しています。それよりも「スマホ打刻」は「勤務場所の多様化により、利用が必然となっている」が、導入効果として適切だと思います。
- 労働生産性を向上させよう!
- 今、日本の労働生産性の低さが問題になっています。労働生産性は付加価値額/人数ですので、分子の付加価値額が為替で影響されてしまいます。国際順位をそのまま受け取ってよいか、否かの考慮点はあります。が、しかし、付加価値額と投入工数の指標は重要です。「投入工数を創意工夫によって少なるする継続活動」の定量把握のためです。「オンネット工数」の時間集計を眺めれば、仕事ごと、人ごとの効率性が分かります。「オンネット工数」は勤怠集計業務の効率化と仕事単位の効率性測定の両方を担うシステムです。
- 従量課金、月額課金への準備
- ネットワークとそれに伴うクラウドの発達は、業務のオンデマンド化(必要の都度)を促しています。このオンデマンド化は、ガス料金、電話料金の様に使った量で課金されることを意味します。
同じように、社員の作業時間で課金される場合も考えられます。当社がそうです。「システム運用」で作業依頼されます。そして「その実績把握」が必要になります。
「オンネット工数」は、プロジェクト、取引先とマスタ連動していますので、請求処理まで連携することが可能です。
- 機器・装置の稼働時間も
- まだ適用した会社は無いのですが、人の時間計測だけでなく製造工程の機械の開始・終了時間も管理可能です。電気の接点情報をリンクすれば、開始/終了時刻を登録することが可能です。
- 勤務事務責任者が必要
- 勤務データ、工数データは必ず、責任者のチェックが必要です。二重登録、登録忘れがまず問題になります、次に勤務区分(通常、年休、休日出勤、代休など)の選択は分かりづらく、必ずチェックが必要となるのです。
ただ、これらをチェックする勤務事務責任者を設けることで、勤怠や工数データの収集がスムーズにいきます。「オンネット工数」の承認・差し戻し機能を実装しているためです。
- 入退出時刻と入退出打刻時刻について
- DB項目には、入退出時刻と入退出打刻時刻と二つの項目を保持しています。打刻は、8:20だけれども入出時刻は9:00という管理が出来ます。打刻時刻のエビデンスを保持できるのです。この入退室時刻と打刻時刻との扱いは、利用者との間で取り決めておくことが必要です。
- 勤怠打刻のモバイル端末(主にスマホ)利用について
- これまでの勤怠打刻はパンチカード機によるものが多かったと思います。この方式は、①設置場所で打刻する、②紙とデータの両方で記録する、で便利でした。今後も有効でしょう。
しかし昨今、「働き方の多様化」で作業場所が自宅や現場など、勤務場所が多様化してきました。これに対応できるのが「スマホ」というわけです。「オンネット工数」もこの方式に対応しています。
この種の広告では「スマホ勤怠を使うと事務作業効率がXX倍向上!」などと謳われているのをよく見ます。しかし当社の感覚では、スマホ利用することでむしろ打刻忘れや遅延打刻などが発生し、「以前より打刻者と勤務事務管理者間で、事実確認作業が多く発生している!」と感じています。
勤怠のスマホ化だけで作業効率の劇的改善はありません。社労士を含めた運用設計が必要になると考えています。運用設計と社員定着ができて初めて勤怠業務が効率化します。
- スマホを使えば画像と位置が得られる
- この機能は大きいと感じています。勤怠では出退勤の正当性確認に使えますが、それよりも、①レシートの画像送信、②業務上での画像報告にも利用できます。
そうなると、これまでの打刻画面に「経費申請(領収書などのエビデンス報告)」「位置情報+画像報告」も追加したら便利になります。
勤怠のスマホ利用は「勤怠以外にも使えて便利」なのです。各社の事情に合わせて機能変更、拡張が有効と考えています。
「オンネット工数」は「オンネット統合業務」の一部です。スマホに各種機能を追加する、プログラム部品を持っています。
販売、購買、在庫などの業務機能との連携も可能です。
■オンネット工数 当社のスマホ画面作成例(PDF)