導入事例CASE03:
研究所で購入する研究器具、試薬購入の業務効率化と予算管理、購入手続きの透明化

導入組織の概要とオンネット購買の関係

A研究所は著しい実績を上げている国内の生物研究所であり、国内外の研究員が所属している。A研究所は公的な研究プロジェクトも多く、その予算管理を徹底(購入実績把握と報告)する必要がある。研究に必要な器(機)具、試薬などの購入から納品まで研究者に委ねられていた。その業務を「オンネット購買」と固有機能のカスタマイズで購入、納入業務の効率化、予算管理の効率化と業務分掌を進めた。

A研究所では研究員が自前のシステムを簡易ツールで作成していたが「マスタ整備があいまいになる(ひとつのコードで使いまわし利用)」「複数PCからネットワーク利用できない」「システム管理業務が大変」などの理由で今回のシステム更新となった。

システム構築の目的

システムに求める機能は

  • ・公的予算に紐付ける購入実績を効率的に把握する
  • ・購入器材、薬品は、なるべく市場競争の中で安価なものを選択する
  • ・購入の適正性を報告可能とする
  • ・以上の業務を効率的に遂行する
となった。

システム化のポイントと効果

「オンネット購買」を見ながら業務フローを設計する
購買業務の流れは一般には分かりづらい。「オンネット購買」は原部要求、発注、請け確認、受領、検収となる。これらの所掌を分けることで内部統制が強化されることになる。標準的な流れを実際画面で見ながら、確認しながら業務設計できた。業務フローは標準と大きな違いは無かったが、研究で使う試薬は専門的な項目を付加する必要があることが明確になった。
研究員、事務管理部門、発注先の関係整理
これまでは研究者自身がが発注して受領・検収までを行っていた。これは、発注するものが専門的になるので止むを得ないことでもある。研究員と発注先は、密に情報共有しながら購入業務を行っている。発注品の残管理も発注者に委ねている場合もある。これらの関係をシステム化することにより、業務の流れが誰でも閲覧できる様になった。また購入依頼と発注行為を明確に分離することができた。
安価な器材、薬品を購入する工夫
これまでは個々の研究者が発注していたので、他者の発注金額や発注先の把握には関心がなかった。システム化することにより購入実績が一覧表示され、購入金額が閲覧できるようになった。同一商品(発注先は変わる)の金額比較が容易になった。汎用品であれば安価な購入をする意識を醸成する土台となった。
プロジェクト番号との紐付け
発注時、プロジェクト番号(予算番号)を紐付ける様になった。これにより、プロジェクト番号で集計すれば購入実績額が把握できるようになった。予算管理作業が大きく効率化された。
購入薬品(試薬)のシール貼付と他システム連携
A研究所には試薬管理システムが導入されていた。また購入する試薬には、その容器に購入内容をラベル貼付する必要があった。この業務を効率化するために、発注時に貼付ラベルをラベルプリンタで作成し、発注書と一緒に発注先に渡し、納入試薬に貼付して納入してもらうことにした。
またラベルにはバーコードが印字されており、その内容で試薬管理システムに連携出来る様になった。試薬使用時に容器にラベル表示があるので、購入時期、納入先当が分かるので現物管理が確実化された。
離れた場所でオンライン利用する
システム導入一年後、コロナの感染拡大がありテレワーク作業となった。「オンネット購買」はどこからでも利用できるしくみとなっているのでリモート作業による業務遂行は問題なく行えた。購入依頼・発注・納品がシステムで追跡できるので、場所を問わず進捗把握が可能になり、大変役立った。
品目マスタの整備
購買システムによって品目マスタの整備は大変であった。システム導入時大きな作業となった。試薬は発注先のカタログ情報(データ)があったが、それでセットアップすると複数社購買することができない。また購入頻度が少ない、あるいは、1回きりの購入をどうするか、などの問題もあった。今どきなのでインターネット通販購入後それをどうやってシステムに登録するかも課題となった。「品目マスタがどうあるべきか」を怠ると、同一コードで品目名をその都度変える運用になる。そうなると各種管理資料作成時、コードで集計できなくなる。これらを考えながら品目マスタを整備した。

システム構成

研究機関の購買業務

システム化の効果

購買業務の業務分掌が進んだ
これまで購入依頼者(研究者)が直接試薬会社に注文し、受け入れも自身で行っていたため業務の流れが他者から分からなかった。それを購入依頼者、発注者(購入部門)、発注先、納入確認者の各作業を分掌したため、業務の流れや取引内容がシステム上で可視化できた。
購入実績の確認
購入実績が、購入依頼者・発注先・品目(試薬など)・期日・プロジェクト別で検索できるようになった。この結果、以下の作業が効率化した。
  1. 繰り返し購入が過去伝票を参照追加することで簡単に。
  2. 予算と実績の比較管理が簡単にいつでも行えるようになった。
  3. 同一の品目を複数業者から、単一業者から、そして単価違いなどを分析して、適正購入を行える様になった。
  4. 購入頻度の適切性把握が可能となった。
シール発行・貼付で試薬を簡単バーコード管理
発注時、納入試薬シールを発行し納入時にビンに貼付してもらう業務手順にした結果、試薬の在庫管理(購入時期、量など)がバーコードで行えるようになった。
更なる業務効率化のための基盤が出来た
購入依頼から検収業務までの業務手順が確立できた。試薬管理システムとの連動で自動発注、また発注先への検収通知書送付による支払(請求書受取の廃止)を実現。業務効率が進んだ。