
企業が抱える問題-PCひとり一台時代で、社内情報の共有は進んだか?
コンピュータ、ネットワークの価格低下を受け、その利用は企業において一般化した。故に現在、多くの会社では社員ひとりに 1台のPCはあたりまえである。その結果、インターネット、メールの利用により知的生産性と情報共有は劇的に向上していると言われる。実際にそうだろうか?
確かに、個人の知的生産性は伸びただろう。しかし、会社情報としてそれを見たとき、情報は個人PCに隠れてしまっている。これでは会社全体で情報共有、活用することはできない。また、個人PCにある会社情報は、統制できなくなっている。これが、巷で言われている内部統制(SOX)の必要性である。
パソコンが一般に普及して、10年前後、便利になった面もあるが、課題も見えてきた。以下に、当社内においての課題をまず整理する。
1. メール問題
メールによって情報伝達コストは低価格化、迅速化をもたらした。この効果は大きい。しかし、他方に目を向けると重要なやり取りが、一対一で行われているということである。他人には見えにくい、重要な情報が個人PCの中に埋没するのである。また、会話の内容も分からない。本来上司承認が必要なやり取りも、ccの同時送信で済ませてしまうケースも散見される。かくして、組織内での情報伝達はその量が増え、統制が取れなくなっているのである。これは、携帯電話により、子供たちの行動が読めなくなった一般家庭の状況に似ている。
2. 知識の属人化
会社情報であっても、よほど注意しないと業務担当者の中に埋没しがちだ。最近では知識・情報が個人 PCにデジタル化されると紙で残されないということで、より助長されている。知識は、見える形(紙、デジタルどちらでも構わない)にして、探し出す仕組みを構築して、再利用されないと会社情報として意味がない。「担当者が休んだら、必要情報にアクセスできない!」は結構、ある話だ。
他人の仕事の内容、経験を共有して再利用してこそ、組織全体のチカラとなる。デジタル情報は意識していないと見ることができない。ここに注意が必要だ。
3. 事務手順の崩壊
事務作業をPC上で行うことが多くなった。これを昔ながら紙での伝達でやっていたら、間違いなく会社は消滅してしまう。しかし、弊害もある。事務手順が見えにくくなるのである。これは、エクセル、ワープロによる情報の個人PC内の蓄積に起因している。便利に自由に利用できるが、目に見えないデジタル情報ゆえ、統制が取れなくなる欠点がある。
「重要な見積もりをエクセルで作成して、メールで」、「在庫管理の状況をエクセル表で管理(入出庫伝票はナシ。電話で)」ということは結構あると認識している。大事な情報が、改変可能な状態で個人PCに蓄積されている。データ保全の点から望ましいことではない。
4. 「PCを利用していることが仕事をしていること?」錯覚問題
よく考えて欲しい。PCを利用するから、知的生産性は高まるのだろうか。否である。考える部分は依然として人間の領域だ。PCは単純に情報を選択、集計したりする機械に過ぎない。
私の独断的見解では、「PCで利用する多くの時間を情報の美的体裁合わせに使っているのではないか」と思える。それでは、ただキレイというだけで、情報自体の価値がない。
一日中PCの前に座していることが、仕事をしていることでは無い。意味ある情報を作ることが、仕事をしていることだ。意味のある情報生産により、個人の評価が決まることが重要だ。
5. 資料探しが大変
情報がデジタル化されてサーバやPCに格納されると、フォルダ構成などが整理やファイル名が分かりやすくないと探し出すことが出来ない。「たしか、作成したけど、どこだっけ」は、よくある日常風景となる。
紙のフォルダで整理されていれば何とか見つけ出せるが、目に見えないデジタル情報と、分散したコンピュータから探し出すのは、至難の技。
6. 複数のバージョンが存在する
デジタル情報は簡単にコピーできる。かくして社内には、同じ表や文書でも複数のバージョンが分散したコンピュータ内に格納される。そうなると、どれが新しくて、どれが古いかが分からなくなる。